ダイアグラムの交換

ダイアグラムの交換

UML1.xでは、特定のUMLツールで作成したものを交換しようとすると、グラフィカルな情報が正しく伝わらない、ということがあったが、UML2.0では、このグラフィカルな情報の交換も可能となるような方法が規定された。

Summary

Summary

Information Flow Daiagramsは、Miscellaneous Advanced Constructs and Diagramming(補助構成要素)に含まれるもので、エンティティ間で行われる情報交換に焦点を合わせたものである。

AuxiliaryConstructsパッケージの下位パッケージである。

Information Flow(情報の流れ)は、情報の型、初期値といった性質や、それらがやり取りされる手段,仕組みなどを規定するのもではない。
もちろん、情報の流れの順序や、いかなる制御条件も規定することはない。

仕様書ver 図No ページ数 セクションNo ページ数
03-08-02 Fig413 P532 --- ---
翻訳版 図17.2 P752 Sec 17.2.1, 17.2.2 P752, 754

Information Flow

Information Flow(情報の流れ)

1つ以上の情報が,ソースからターゲットへ流れること。

情報の流れは、情報項目をソースからターゲットに送信する、ある種の情報チャネルを必要とする。

情報チャネルは、コネクタ、リンク、関連、あるいは依存関係によって表現されるかもしれない。

これは、UML2.0で追加された。

仕様書ver 図No ページ数 セクションNo ページ数
03-08-02 Fig413 P532 --- ---
翻訳版 図17.2 P752 Sec 17.2.1 P752

属性

なし

関連

realization
Relationship[*] どのRelationshipが、指定された流れを実現するかを決める。
conveyed
Classifier[1..*] この情報の流れで伝えられるかもしれない情報項目を規定する。
realizingConnector
Connector[*] どのコネクターが、指定された流れを実現するかを決める。
realizingActivityEdge
ActivityEdge[*] どのアクティビティエッジが、指定された流れを実現するかを決める。
realizingMessage
Message[*] どのメッセージが、指定された流れを実現するかを決める。
target
NamedElement[1..*] 情報項目が伝わるターゲット。
source
NamedElement[1..*] 情報項目が、どのソースから伝達されるか。

制約

  1. 情報の流れのソース、および、ターゲットとなりうるもの(アクター, ノード, ユースケース, 成果物, クラス, コンポーネント, ポート, プロパティ, インタフェース, パッケージ, アクティビティノード, アクティビティパーティション, 分類子が関係(リンク)ではないインスタンス指定)
  2. ソース、ターゲットは、存在する場合、その実現関係のソース,ターゲットに合致しなければならない。
  3. Information Flowは、情報項目としての分類子だけを流すことができる。ただし、情報項目の代わりになるクラスのような具象分類子であれば、流すことができる。

セマンティクス

情報項目の伝達を抽象化
情報の流れは、ソース←→ターゲット間の情報項目伝達を抽象化したものである(エンティティ間の情報の伝達を抽象化する目的として使用される)

:ソース、ターゲットが分類子ならば、それは、分類子のすべての可能なインスタンスを表す。
:ソース、ターゲットがパッケージなら、直接/間接に所有されるパッケージの分類子のすべてのインスタンスを表す。

記法

キーワード<>を使った依存関係として表す。

Information Item

InformationItem(情報項目)

オブジェクト間で交換可能な、あらゆる種類の情報を抽象化したものである。
したがって、直接インスタンス化することはできない。

情報の流れの詳細よりも、全体のイメージを掴むためのモデリングに利用される。

詳細を記述しないため,複雑なモデル上の情報の流れを要約することができる。

仕様書ver 図No ページ数 セクションNo ページ数
03-08-02 Fig413 P532 --- ---
翻訳版 図17.2 P752 Sec 17.2.2 P754

属性

なし

関連

represented
Classifier[*] 情報の構造と性質を規定する分類子。

制約

  1. これには、特性、汎化、関連がない。
  2. 直接、インスタンス化することはできない。

セマンティクス

  • システム内で活用されるあらゆるものが情報である。
  • 情報は、情報項目として表現することが可能。
  • 情報項目は、表現された情報の構造、型、性質を規定しない。
  • 情報項目は、より明確な情報項目に分解することができる。
  • 情報項目は、プロパティ、または、関連を持てない。

記法

  • キーワード <>を書く。
  • 右上に、黒い三角形アイコン(横向き)を書く。
  • 分類子と表現項目の間の表現リンクは、キーワード <>付きの破線。

Summary

Summary

Modelsは、Miscellaneous Advanced Constructs and Diagramming(補助構成要素)に含まれるもので、物理システムのビューを捉えるものである。

これは、AuxiliaryConstructsパッケージの下位パッケージである。

Model

Model

an abstracted view of a physical system (AuxiliaryConstructs::Models (Fig. 419))

仕様書ver 図No ページ数 セクションNo ページ数
03-08-02 Fig419 P535 --- ---
翻訳版 図17.8 P756 Sec 17.3.1 P756

これは、パッケージを特化したもので、ある目的を持つシステムを抽象化したものである。

そのため、モデルの構成要素は、パッケージとして定義される。

モデルに何が含まれ、何が無関係なのかは、そのモデルが何を目的としているかによって決定される。

属性

viewpoint
String[0..1] モデルによって表される視点の名前(この名前は、プロファイルを参照するかもしれない)

関連

なし

セマンティクス

  • モデルは、ある目的をもった物理システムを記述する。
  • モデルは、物理システムを抽象化する。
  • モデルは、求められる視点(詳細の程度)、そして、あるレベルの抽象度で、対象となる物理システムを規定する。
  • 視点、抽象度は、モデルの目的によって適切に与えられる(モデルの目的に左右される。影響を受ける)
  • モデルは、与えられた視点,抽象度で,システムを完全に記述するという意味で,完璧なものである。
  • ある物理システムは、モデルによって1度だけ記述される。重複して記述されることはない。これは、モデルが完璧だということによるもので、1度だけ記述されれば、満たすべきもの、表すべきものをすべて余すことなく表現することが可能だということである。
  • モデルは、パッケージを特化している。
  • モデルは、洗練、もしくは、モデル間のマッピング依存関係を持つことができる。

記法

  • 通常の、パッケージの記法を使って書く。
  • オプションとして、矩形の右上、もしくは、タブの中に三角アイコン(△)を書いてもよい。タブの中に書く場合、たいていはモデルが図として大きい(概念じゃなくて)

Summary

Summary

Templatesパッケージは、Miscellaneous Advanced Constructs and Diagramming(補助構成要素)に含まれるもので、分類子、パッケージ、操作をテンプレートパラメータによって、パラメータ化する方法を規定する。

これも、Information FlowsやModels同様、AuxiliaryConstructsパッケージの下位パッケージである。

テンプレートパラメータには、分類子,ValueSpecification,Feature(PropertyとOperation)などを使うことができる。

テンプレートはUML1.xでもカバーされていたが、UML2.0(UML2.x)では、テンプレートか可能な要素を,テンプレートパラメータを持つ要素として明確に定義しなおした。

仕様書ver 図No ページ数 セクションNo ページ数
03-08-02 Fig427 P542 --- ---
翻訳版 図17.16 P762 --- ---